米国と欧州連合が買い手とならなければ、加工貿易国日本は外需頼みの経済政策は不可能だ。では、内需はどうかというと、国内は少子高齢化で絶望的である。
こんな状況で日銀総裁がのほほんとした空気が読めないコメントを出せるはずがない。当然、悪化した数字を踏まえた厳しいものになるだろう。
個人が拾っている限り、株価はそうそう暴落もしないだろう。いや、ここ数年落ちていたので、今回の暴落でさらに底が浅くなっただけかもしれない。たとえ日経平均が5000円にタッチしても、ただそれだけの話だ。もはや驚きはない。まさか3000円ということはないだろう。企業が増資をどんどん繰り返し、株の希薄化がさら進めばあり得ない話ではないのかもしれないが、そこに待っているのはこれまでとは別世界の経済かもしれない。
米金融不安に端を発した世界経済失速の荒波が、ついに日本にも押し寄せた。28日発表の10月鉱工業生産のデータは、この先の製造業の売上高が急減するリスクを示し、今年10─12月期の生産は過去最大の落ち込みになる可能性が出てきた。
前日の米株式場が休みだったこともあってマーケットは機敏には反応していないものの、株価の上値を押さえつける材料になっている。市場の一部には、週明け12月1日に福岡市で予定されている白川方明日銀総裁の講演内容や会見内容に注目する声が出ている。
<国内生産が大幅な減少、日本経済にエンジン停止のリスク>
28日の株式市場では、日経平均が前日終値を挟んで小動き。前日の米株式市場が休場で材料が乏しいことに加え、週末・月末とあってディーラーの動きは鈍く、売買高の膨らまない閑散相場となった。「海外ファンド勢の売りが明確にピークアウトしている。裁定買い残も5年半ぶりの低水準となり、売りの絶対量が少ない。もっとも、需給要因で日経平均は底堅さを維持しているが、ファンダメンタルズが悪化傾向にある中で持続的な株高は期待しにくい」(準大手証券エクイティ部)という。
寄り前に発表された10月の鉱工業生産指数速報は前月比3.1%低下の102.3となり、2カ月ぶりの低下となった。さらに11月の生産予測指数はマイナス6.4%と過去最大のマイナス幅、10─12月期の生産は過去最大の落ち込みになる可能性が高まった。「予想以上の生産減少で先行きも悪い。生産は外需頼みの状況であり、当面の株式市場の焦点は米経済対策の行方やGM
自動車や電機など輸出業種の不振が大きく影響している上に「設備投資関連の生産も落ち込みが激しく、日本経済は輸出と設備投資の2大エンジンが急停止する危機的な状況に立ち至りつつある」(東海東京証券・チーフエコノミスト、斎藤満氏)という。
<自動車やハイテク株への思惑>
日本株はグローバルな信用収縮や景気減速をかなり織り込んだとみられているものの、「パナソニック<6752.T>の下方修正が示す通り、企業業績は厳しさを増している。来期の2ケタ減益も視野に入る中で株式投資に積極的にはなりにくい」(大手証券エクイティ部)という。
かざか証券・市場調査部長の田部井美彦氏は「パナソニックの業績予想下方修正は事前の想定以上で、販売数量減や製品価格の下落が、本業の収益性を大きく圧迫している。価格下落は、欧米景気が今後さらに低迷することを考えて在庫を残さないよう売り切ることを優先している面もあるのではないか」と指摘。「慎重な年末商戦の見通しを考えれば、これはパナソニックだけの問題ではない。トヨタ自動車<7203.T>の下方修正をきっかけにした自動車への買い手控えに続き、ハイテク株にも手を出しにくくなった」と話している。
また、みずほインベスターズ証券・エクイティ部長の稲泉雄朗氏は「薄商いの背景は、個人投資家などが下値で買う姿勢をみせているものの、海外ヘッジファンドの換金売りが減少したことで株価が急落することもなくなり、約定の機会が減っているためだ」と述べる。
さらに「企業業績の悪化や円高の影響もある程度織り込んだことで、動意が乏しくなっている。一方で裁定買い残が2003年5月以来の低水準となるなど裁定取引が減少していることも薄商いの要因だ」とし、「今後は、新興国の中央銀行が利下げを検討しているとみられており、クロス円での円高が懸念材料だ。トヨタ自動車<7203.T>やパナソニック<6752.T>など主力輸出企業の業績が悪化しているが、さらなる円高が進めばさらなる業績悪化を織り込む必要が出てくる」と述べている。
<日銀は大規模な国債買い現先オペを実施>
生産の衝撃的なデータが出たものの、円債市場では、日銀の利下げ余地が限られているとの思惑が根強い上に、株式市場が小動きとなっていることも手伝って、小動きで推移している。その中で月末特有の「エクステンション買い」が予想されており、主に年限の長めの債券で需給引き締まり感が広がったという。
しかし、新しい手掛かり材料が出てこなかったため、方向感ははっきりしない相場展開となった。
短期金融市場では、日銀が午前に実施した国債買い現先オペの通告額が、参加者の話題をさらった。日銀が28日通告した国債買現先オペは、スポネベースにあたる12月2日スタート/3日エンドが3兆円に増額された。同時に通告された2日スタート/9日エンドは1兆6000億円で、合計4兆6000億円と、量的緩和解除後で過去最大の規模に達した。
<白川総裁の発言次第でマーケットは大揺れも>
日銀が短期金融市場で資金調節手法の多様化に取り組んでいるのを横目で見つつ、日銀の金融政策スタンスをウォッチしているある市場参加者は「生産の落ち込み幅が予想以上に大きく、日銀の想定を超えている可能性が高い。利下げ余地は限られているものの、日銀が生産減少をきっかけに何らかの政策対応を検討するのは間違いないだろう」と指摘する。
邦銀関係者の1人も、きょうの生産データの落ち込みは深刻だと指摘した上で「週明け1日に白川日銀総裁が、福岡市で講演し記者会見する。日銀が事態を注視し懸念しているなら、何らかのヒントが出てくるのではないか。久しぶりに注目に値する講演と会見だ」と述べる。
東京市場では、生産データの発表をきっかけにした一段の金融緩和への思惑は強まってはいないものの、白川総裁の発言をきっかけに日銀の政策対応への関心度が一気に増す展開も予想される。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081128-00000511-reu-bus_all

